文京湯島法律事務所の解決事例をもとに,解決の方向性の参考となるモデル事例をご用意しました.

*分野の性質上,ご依頼人が特定されるおそれがありますため,実際の事件の内容を変更してありますのでご了承下さい.

【ハーグ】生活の見通しを確保して帰国


【日本人女性・男の子1名・TP】

 外国で一緒に暮らしていた夫と不和になり,男の子を連れて帰国したところ,夫側から日本の裁判所に,ハーグ条約に基づく子の返還の申立てを受けました.

 返還拒否事由の立証は難しい事案でしたが,ご依頼人は外国での生活に不安があり,夫の協力に期待できなかったため,もとの国に戻るという決断ができずにいました.

 裁判所での審理の後,裁判所が改めて設定した調停の場で,夫側とよく話し合い,住居の確保等において見通しが立ったため,いったん任意に帰国し,離婚についてはもとの国の手続で話し合うことにしました.

 

 弁護士コメント:ハーグ条約は返還拒否事由がない限り返還が原則となっていますが,離婚成立までの一時的な居住国を決める手続ですので,ここで親権などが決まってしまうわけではありません.返還拒否が難しい事案の場合,裁判所の決定となれば単純に返還を命じられることになりますが,相手側との話し合いにより,生活の基盤や当面の子の監護方法など,最低限の安心を確保することができます.肝心の親権については帰国後に元の国で十分に争うことができますので,そちらに注力するという判断が効果的な場合もあります.

【ハーグ】不返還合意成立


【日本人女性・男の子2名・TP】

 外国から男の子2名を連れて帰国し,子の返還の申立てを受けました.

 調停では当初,返還か不返還かという方向性から真向対立していましたが,面会交流などを実施するとともに,返還する場合,不返還の場合にそれぞれ想定される現実の生活について具体的に話し合う中で,ご依頼人の思いが相手側に通じ,最終的には不返還の合意が成立しました.

 離婚については,別途調停が成立しました.

 

 弁護士コメント:ご依頼人とお打合せを重ねる中で,お子さんの生活や将来について具体的に考えておられるのが伝わってきました.最終的には「夫と考え方は違っても,子を思う気持ちは同じだ」とおっしゃっていたのが印象的です.

【ハーグ】日本への返還


【日本人男性・男の子1名・LBP】

 日本で居住していましたが,妻が出身国に男の子を連れて行ってしまいました.

 日本の外務省の援助を通じ,当該国に返還要請をしました.

 同時に,現地弁護士と情報連携し,現地司法当局による手続に参加してもらい,返還が命じる決定がなされました.

 

 弁護士コメント:ハーグ条約は迅速に進む手続ですので,スムーズな実現のためには外国弁護士との情報連携も重要です.